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親父の顔 |
| 高校2年生の時、親父が心不全で死んでしまった。しかしその10年前に母親と離婚していて、ごくたまにその地域に遊びに行ったときに、道で出会うくらいなので「悲しい」といった感情がこみ上げてくるわけでもなかった。 親父が生前に可愛がっていたのは私であったらしく、出会ったときに、よく小遣いをもらっていたが、そんなことは当然であり、それよりも生活費をよこせと言いたいくらいであった。 しかし肉親が死ぬと何とも不思議な気分でもあったが、それから2年ほど経って、就職し始めの頃、夢で親父が出てくるのである。今でもよく覚えているが、夢の中とはいえ意識どうりしゃべれる、さらに考えることもできる、親父との会話もよく覚えている、朝起きても全く忘れておらず面白いものだと思った。 それからだいたい3、4日おきに親父の夢を見ていて、何でこんなにしょっちゅう夢を見るのか不思議に思ってきたときの晩、いつもより風が強いのか、やたらと家の戸が「バンバン」となっている。しかし家は団地の為、外に物でも無い限りそんな音はならない。気味が悪くなって一応確認をしに行ったが、ドアの前まで来るとその音がぴたっと止む。外には誰もいない。何もない。ちょっと怖くなってまた布団に包まって眠りについた。 また夢の中である。すると誰かの足元を見ている、親父だ。足を見てすぐ分かったのは不思議だが、今回の夢は前とちょっと違う。夢の中で体が意識的に動いてくれない。自分の目は徐々に膝、腰、腹、胸の順に、見上げていっている。最後に見るのはやはり顔。 そのとき思った「見てはいけない!」必死で目をそらそうと思っても顎が見えてきた「ダメだ!」と思った瞬間、「見るなー!」と母の声である。その瞬間ぱっと目がさめていた。 いったい昨日の夢は何だったんだろう。顔を見ていたらどうなっていたんだろう。疑問は募るばかりであったがその夜、母に今までのいきさつを話したところ、急に血相を変えて電話をし始めた。 「拝んでくれるとこがあるから今から行って来い」 と言われた。「拝み屋」についてすぐ玄関口で言われた。 「あんたの後ろ、顔グチャグチャの人がおんで!」 今までの話をしたところ、「その人」は私を引きずっていこうと思っていたらしく、大変危ないところだったようである。お払いも終わり今までのことを母に話すと、 「言わんかったけどな、あんたのお父さん死んで発見されたが、2週間くらい経っていたらしくて、かなりの腐乱状態やったらしい・・・」 そう言えば私は葬式のとき親父の死に顔を見ていない・・・ |