メリーさん
 メリーさん……みなさんはその名前を一度はお聞きになった事があるのではないでしょうか?私も何度か聞いたことがあります。私は二つお話を聞いたんですよ。今回は、その二つともをお教えしましょう。

 ある日、男が車に乗って家に帰る途中、女の子をはねてしまった。女の子は悲鳴を上げ、その悲鳴は男の耳にへばりつくように残った。男は混乱し、そのまま家に帰ったそうだ。

 家についた時、部屋の電話がけたたましく鳴り響いた。男はさっきのショックから立ち直れず、力無くその受話器を取ったそうだ。
 受話器からは、女の子の声が響いた。

「私、メリー……」

 その声は、さっき車でひいてしまった女の子の悲鳴と同じ声でそういった。

「今、あなたの家の近くにいるの……」

「ま、待ってくれ!!」

 男の叫びが終わるか終わらないかのうちに、電話は切れてしまった。
男は恐怖に震えた。
さっきひいたはずの女の子が、自分のうちに電話をかけてきたのだから当然だ。
二回目の電話は数分後に訪れた。

「私、メリー……」

 再びあの女の子の声だ。

「今、あなたの家の近くの電話ボックスにいるの……」

 そういうと、電話はすぐに切れてしまった。男はすぐに、窓から近くの電話ボックスを見た。だが、そこには誰もいない……

 三度目の電話も、やはり数分後に来た。

「私、メリー……」

「いいかげんいしてくれ!!」

男は叫ぶが、少女の声は淡々と事を告げる。

「今、あなたの部屋の前にいるの……」

男は一瞬ぞっとし、ドアの方を眺めた。
……ドアの前にいるのに、どうして電話ができるんだ?
男はすぐにドアの前に行き、勇気を出してあけてみた。
しかし、そこには誰もいない……。
と、すぐに電話が鳴った。
男はドアを開けっ放しにして電話に飛んでいき、すぐさま「いたずらはやめろ!!」と怒鳴った。
しかし、少女はやはり淡々とした声で

「私、メリー……」

といった……。

そして……

「今あなたの後ろにいるの……」

すぐに男は背後の気配に気づき、振り向いて……