タクシー1
 タクシ−の運転手から聞いた話。
 大阪の千日前付近で客を待っていたら、前に同僚のタクシ−が止まっていた。同僚は、誰も乗り降りしていないのに、タクシ−のドアを開け閉めしていてそのまま走り去っていった。
 場所柄、「もしかして。」という気持ちがあったが、「きっと、間違ってドアの操作をしてしまったんだろう。」と思い、会社に帰った。そしたら、会社で社員達が騒いでいて「何事か?」と皆に問うと、さっきの同僚が青い顔をして座っている。
「どうした?何か事故でも起こしたんか?」と声を掛けると
同僚は
「ワシ、乗せてもた。」
「何をや?」
「女の幽霊や。」
「もしかして、千日前でか?」
「何や、見てたんか。」
「そうや。お前がドアを開け閉めするの見てたがな。」
「あ〜。もう、こりごりや。あそこでは商売できへん。」

 別に、シ−トが濡れてたとかは無いらしく乗せてしばらくしてから、姿が見えない事に気づいて、急いで社に戻ったらしい。それから、自分も同僚も、千日前では客を拾わなくなったそうだ。
「わしは気持ち悪いんですわ。皆、待っとりますけどなぁ。」
 よくある話なんだけど、その時は怖かった。