タクシー2
 地下鉄の出口から出ると、外は雨だった。傘を広げて歩き出したが、何か、何故か街路に凄く嫌な雰囲気がする。

 ちょっとヘンだな……

 すれ違う人、誰も傘を差してないんだよね。雨なのに。みんな無口で、暗ーい顔して、同じ方を見ながら歩き去って行く。
 と、急にタクシーが止まって、手を振って、こっちへ来い。と言う。
 私、タクシー乗りませんから、と言ったけど、運転手さんの「いいから、とにかく乗って!」という勢いに押されて、嫌な雰囲気もしていたことだし、逃れるようにタクシーに乗った。

 しばらく走った後、運転手さんは真っ青な顔をして言った。

「いやあ、あんたが誰もいない道を、誰かをよけるようにして歩いてるもんだから、これは助けなきゃいかんと思って……」